7月15日発売に向けたNASのネット上でのプロモーションを今年に入ってからずっとフォローしてきているが、
広告とって記事書いてるヒップホップサイトや、日本発売元のユニバーサルのオフィシャル・サイトが何か新しい情報出したりしないかと思って覗いてみたら、愕然とした。
まず、ユニバーサルのオフィシャル・サイト
メッセージが強靭だと説明する言葉も要らないらしい。ユニバーサルの社員は超能力が使えるようだ。
「強靭なメッセージ」についても、どうして「ニガー」がダメで『無題』になったのかという経緯も、まったく説明する気がない。(アルバム買って対訳を読めということか。それとも立場的に説明できないのか?*アルバムには対訳も歌詞もついてない。輸入版にも無いようだ。)
多くがリリックの内容に関心は持っているが、英語のメッセージをそのまま理解できてる日本のヒップホップリスナーがごく一部であるのは、このブログに対する日本の読者の反応からも明らかなんだけど。
英語がわかるからといってなにいってるか理解できるというわけでもないし。ヒップホップや、ナスのこれまでのバイオなんかも知らなきゃ掴めないことが多いだろうし、特に社会問題に言及することが多いナスのリリックは、アメリカの歴史や社会状況まで知らないとよく理解できないと思う。
そういう意味で、バイオグラフィーなんかもメッセージやリリックの理解には重要になってくる。
それで、Notraxというサイトのナスのプロフィールを覗いてみると、
一方でコアな層には圧倒的評価で迎えられたこのアルバム、ドクター・ドレー(Dr.Dre)の”the Chronic”が猛威を振るったこの時期にセールス的には振るわず、ナズ本人の知名度が確立された10年後、2004年にリマスターして再リリースされ るという珍しい事例をつくることになった。そのフラストレーションを振り払うかのようにリリースされた1996年のセカンド”It was written”は、よりマスを意識したプロダクションを施されている。
illmaticは当時ゴールドアルバム(50万枚)くらいは売れていたと思うけど、94年のヒップホップ・アルバムを、メジャーからのプラチナリリースが当たり前になった90年代後半以降の基準で語るのがそもそもの間違いだし、94年当時猛威をふるっていたのはクロニックじゃなくて、スヌープのドギースタイルだ。
当時はNYヒップホップ・シーンとそれ以外のカントリーラップ・シーンが完全に分離していて、NYではカントリー・ラップは完全にバカにされていたし、NYや東海岸の周辺地域以外でNYヒップホップは完全にマイナーな存在だった。それがその後のイーストVSウェストの抗争に発展したりもするわけだがまったくヒップホップの評価の価値観が異なっていた。
ヒップホップのオリジンに忠実で、売れ行きよりもスキルやアートの完成度を追求し、評価していたのがNYのシーンで、そこで最高の評価を勝ち得たのがillmatic だったのであり、これがなければ、90年代のNYのアンダーグラウンド・シーンはあそこまで発展しなかっただろうし、そこから登場したジェイZのようなフォロワーも存在しなかった。
だからこそ、発売10周年を記念してリマスター盤が再発されたのであって、売上げ枚数のことなど問題になったのはジェイZが勝ち上がってナスにバトルを吹っかけるネタにしてからのことだ。
こんな無茶苦茶な情報垂れ流して堂々と商売してられるというのでは、ヒップホップの人気が凋落するのも無理はない。
これまでも権威みたいなものを当てにするような根性でヒップホップなんていってるのがそもそも悪い冗談みたいだった。
もはや、文句を言っていればいればいいというレベルではなく、メディアや音楽産業に何も期待できない以上、ヒップホップのファンが自分達で行動を起こしてどうにかするしかない。
アンダーグラウンドのヒップホップというのはそのようにして発展してきたもので、日本では輸入されてくる時点ですでにどこかの会社が代理になって発売されてしまうからそれがわかりにくいが、海外でのインディーズのリリースというのはほとんどが個人のレベルで行われており、The SOURCE のようなヒップホップメディアも元は数人の学生だけでインディペンデントで始めたものだったから、100%ヒップホップの視点で情報発信ができていたのだ。(成長して大企業になると、そうはいかなくなるのだが。)
個人レベルでのムーブメントがなければ、今のヒップホップシーン自体とっくに消滅してなくなっていたか、まったく違うものになっていたはずだ。
「メッセージが強靭だと説明する言葉も要らないらしい。ユニバーサルの社員は超能力が使えるようだ。」
最高に笑えました!
本来の価値の半分しか味わってないんだと思います。
メディアの超能力っぷりにはビビります。
このエントリーで書いたようなことを金が回っている時に言っても誰も本気できいてくれない。
上手い売り込み文句考えやがって、くらいにしか思われない。
だからみな堂々と口先だけは人の言うことを真似してみせる。
けど実際にやらせてみるとボロが出る。
すると、なぜかガセネタを掴まされたかのごとくパクったネタ元を逆恨みしたり貶しはじめる。