B-Sides Wins Again 4-3 ブラックミュージックの弱体化

第4章 アイデンティティ・クライシス

3 ブラックミュージックの弱体化

経済的・物質的な成功を求めてクロスオーバー志向が強まった結果、ブラックミュージックは黒人のための音楽としての質よりも、白人聴衆中心のメインストリームの音楽マーケットでの大当たりだけが重視されるようになり、黒人向けのマーケットでのヒットなどは利益の小さな取るに足らないことのように考えられるようになっていった。それまで黒人音楽業界を育てるのに貢献してきた黒人社会の人々は、ブラックミュージックの経済的拡大から恩恵を受けるどころか、見向きもされなくなってしまった。

実際のところ、大企業レコード会社が黒人聴衆を全く無視したわけではなかったが、彼等の想定する黒人聴衆とは白人社会に受け入れられる、中産階級的価値観を信奉する一部の黒人を意味し、白人社会から物理的にも文化的にもかけ離れて暮らす大部分の貧困層のゲットーの黒人達は眼中になかった。
大企業と契約した黒人アーティストの中でも、黒人マーケットでは確実に地位を持っていたにもかかわらず、クロスオーバー志向についていけないベテランや黒すぎる感覚のアーティストは売れ行きだけを重視する業界から締め出されてしまい、行き場がなくなってしまう。そのような大成功かクビかという状況のなかでブラックミュージックが本来持っていた魅力はますます失われていった。

行き過ぎたクロスオーバー志向はブラックミュージックの経済的拡大よりも、ブラックミュージックの生命力を弱め、黒人文化の伝統から遠ざけるものであった。

続きは Minority-net .com の連載ページで。

追記:

今回の投稿分と、前回の「クロスオーバー」をあらためて読んでみて、引っ掛かった言葉をいくつかピックアップしてみる。

「経済優先の風潮」 「大企業が支配」 「クロスオーバー志向」 「上昇志向をさらに押し進めて白人社会へと進出」 「主流文化である白人の価値観に迎合すること」「一部の黒人中産階級と、黒人の大部分である貧困層との格差の拡大」 「机上の空論に過ぎない理想のみを追い求めた」 「黒人文化の伝統的な価値観がぐらつき、黒人としてのアイデンティティが不確かななものになってしまう」

これらのキーワードの「クロスオーバー」を「国際化」や「市場原理主義」に置き換え、「黒人」を「日本人」に置き換えて見ると、2008年現在の我々の日本社会の現状を表わす言葉とまるで同じではないか。

アメリカの黒人社会に起こったことと、現在の日本の社会に起こっていることがそっくり同じことのように感じられるのだ。

おそらく、繁栄する他の民族集団・社会・マーケットをターゲットにしてそこに進出/支配しようとしてくる大企業、大資本などの勢力というのは常に同じ一つの勢力で、地球上のあらゆるところで同じような手口を繰り返しているのではないだろうか。

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