ブルースの時代

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ブルースの時代

我々は、アメリカ史で奴隷解放により黒人に自由が与えられたことは、リンカーン大統領の偉大な大英断であるかのように学校で教わって来た。しかし、その実 際の理由は、技術革新による農業機械の発達や綿繰り機の発明により、奴隷の労働力がもはや不必要なものとなったためであった。技術革新による産業構造の変 化はアメリカ社会全体に影響を与えたが、その社会の最下層で弱い立場にある黒人の生活に最も影響を与えた。

20世紀初頭、工業化しつつあったアメリカ産業界はその労働力をヨーロッパからの移民に頼っていた。しかし第一次世界大戦により移民が止み、深刻な労働力 不足になると黒人にその職が与えられ、それが黒人の北部工業地帯への移動をもたらした。1914年に黒人の北部への大移動が始まり、その大部分はシカゴ、 デトロイト、ニューヨーク、ワシントンなどの都会に住んだのであった。こうして形成された黒人労働者階級は経済的にも精神的にも成長し、新たな世界観、社会意識を持ち始める。

それに加えて、黒人が第一次世界大戦に米軍の兵士として国外で戦ったことで、国際的視野から人種差別を社会的不正として認識するようになり、黒人の政治意識が黒人解放運動を発足させるまでに向上していくのである。

第一次世界大戦から1920年代前半にかけてのテクノロジーの発達によりレコードが誕生すると、レコード産業が成長し始め、人気のあった当時のジャズやブルースをレコード化し始めた。

オーケー・レーベルというレコード会社から発売されたマミー・スミスの『クレイジー・ブルース』が1万枚の売り上げを記録し、その後も黒人アーティストに よるレコードが経済力を持ち始めた都市の黒人を中心に爆発的な売れ行きを見せた。これらのことがきっかけで、黒人アーティストはレコード産業界に確固たる 地位を築くことになった。さらに、この出来事は黒人のレコード購買者という肥沃なマーケットが存在することを知らしめることとなった。

そうして黒人向けのレコードが作られるようになり、それらは「レイス・レコード(Race Records http://www.pbs.org/jazz/exchange/exchange_race_records.htm)」 と呼ばれ、白人向けの音楽とは区別されて販売された。 白人は白人向けに脱色された白人が演奏するジャズに夢中になった。ルイ・アームストロングやデュー ク・エリントンなどの黒人ミュージシャンのジャズの先駆者達を出し抜いて、その音楽を楽譜に書き留めて模倣したに過ぎないポール・ホワイトマン等に代表さ れる、白人バンドリーダー率いる白人ジャズバンドが人気を博した。同じようにビジネスの世界でも、レイス・レコードのマーケットには黒人所有のレコード会 社もいくつか存在したが、マーケットが成熟していくにつれてより大規模な白人所有の会社との競争に負け、すべて消滅してしまった。

このような出来事は人種差別による影響が主な原因となって起こっているのだが、その後のレコード産業の長い歴史においても幾度となく繰り返されることにな る、白人が黒人音楽を模倣/盗用し、さらには黒人からの利益をも白人が独占するようになるという構図は、アメリカ音楽産業の創成期からすでに始まっていた のである。(続きはB-side wins again @ Minority.com で)

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